【がんばらなくても死なない】やる気が出ない時“そのままでも良い”と思える本
今週のお題「やる気が出ない」
ということで、はい、まさに今の私です。楽しいこともないし、仕事もパッとしないし、体はあちこち不調だし、でも食欲はあるし。
もう嫌になっちゃう!
いろいろ放り出して身軽になりたい!
そんな甘っちょろいことばかり考えているわけですが、そんな時に読んで心が軽くなった本をご紹介したいと思います。
『がんばらなくても死なない』
竹内絢香さんという漫画家さんが書いている本『頑張らなくても死なない』です。
会社員として海外営業でバリバリ働いたのちに漫画家になった竹内さん自身のご経験を書いたコミックエッセイ。脱サラしてずっと憧れだった漫画家になってから、会社員時代を振り返って、そして漫画家として仕事のない時期を過ごして思うことなどを中心に書かれています。
漫画家さんで、本まで出版していて、普通なら「すごい人だなー。別世界の人だ」と思ってしまうのですが、この本には脱サラ後仕事がゼロになって焦って苦しんでいる時の竹内さんのことが主に書かれているので、なんだか親近感。
というのも、その苦しみようにめちゃくちゃ共感できるんです...涙。例えば、会社員時代の竹内さん「当時の私はすさまじく忙しくて、頑張っている状態がデフォルトだった」。そして漫画家になって「その後漫画家になるために仕事を辞め全く仕事がなくなってしまった。この時襲われたのが『も、もっとがんばらないとダメじゃん...!もっと...もっと...!!という強烈な自己嫌悪だった」。そしてたどり着いた答えが「人間にはどうしてもがんばれない時っていうのがあるんだな...」「だからがんばれた自分も『おっ今日の私は調子がいいんだ。ラッキー!』くらいにとらえて、いい日もそうでない日も愛していけたらいいなと思う」。
ただ夢物語を語っている本よりも、とても説得力があり励まされる
と思います。とても読みやすい本で、竹内さんの絵と文章がやさしくって、ほっこりした気持ちになれます。なので「やる気が出ない」時に読むのにぴったり。
人間って、的確なアドバイスをもらうよりも共感できる方が癒されるんですよね。
「やる気が出ない」と悩むのは、あなたが「やる気が出ないのは良くないこと」と思っている証拠。でもそんなにがんばらなくても大丈夫、死にはしないから。
後輩A子からの相談「仕事がもう嫌なんです」
こんにちは、カヲルです。
私は昔からなにかと相談されやすい体質らしく、自分でもカウンセラーとか向いているんじゃない?とか思って、コーチングの勉強とかしたことがあります(カウンセラーとコーチングはベツモノですが)。
そんな中、学生時代の後輩A子が仕事で悩んでいるという。一通り話を聞いて、コーチング的テクニックを使ったら、A子はすっかり気分が落ち着いたそうなので、一連のやりとりをアップします。こんな世の中ですからねー、もやもや悩むこともありますよね。
A子とのやりとりはこんな感じ。
A子「仕事がもう嫌です。希望部署で楽しく働いていたのに、新規事業の部署をやらされることになって。しかもプロジェクトマネージャーで、責任もあるし、毎日12時間くらい働いて体もメンタルもしんどいんです...」
カヲル「じゃあ仕事辞めたいと思う?」
A子「辞められるなら辞めたいですよ。でも、こんなコロナの状況の中、辞めても次の仕事見つけるの大変だろうし、そもそも転職活動も面倒だし。今の職場だって転職してまだ8か月くらいなのに」
カヲル「そっかあ。じゃあさ、例えば、今の職場でもう長く働いていてこの状況になっていて、世の中の状況がコロナじゃなくって、さらにヘッドハンティングにあって転職活動不要だったら、今の職場は辞めてる?」
A子「…辞めていますね。」
カヲル「じゃあやっぱり辞めたいのかもしれないね。前の部署に戻れたら、辞めたくない?」
A子「辞めたくないです。」
カヲル「そっか。ということは、会社が嫌なわけではなくて、今の新しい仕事が合っていないんだね。部署を戻してほしいことは上司に伝えている?」
A子「はっきりとは伝えていないです。言っても無駄だと思うし...人手不足でその部署に行かされたわけなので、私が前の部署に戻って引き継ぐ人がいないですもん。」
カヲル「そうしたら今の部署で我慢して仕事続けるしかなくなるよね。じゃあ、今の部署にい続けるのは仕方ないとして、まだマシになる働き方はある?」
A子「そうですね...単純に作業量が多いので、あと一人でもチームに入ってくれるといいかもしれません。」
カヲル「そうしたらそれは上司に伝えてもいいかもね。作業を円滑にするためだし、単純に労働時間長すぎだし!」
A子「そうですね...」(まだ顔は晴れない)
カヲル「でもさ、すごくすごく仕事がしんどいなら、辞めちゃって全然いいと思うよ!辞めて数ヶ月無職でも死ぬわけじゃないでしょ?今の職場が転職したばかりだったとしても、そんなの気にしなくていいよ。誰もそのことで非難なんかしないよ。自分が逆の立場でも、「へー辞めちゃったんだ、次は自分にぴったりなところ見つかるといいね」くらいでしょ?毎日しんどい気持ちで過ごすよりも、前向いて頑張れる何かを見つけた方がよっぽど健康的!」
A子「そう思いますか?」(表情が少し明るくなった)
カヲル「あ、A子、さっきよりも良い表情になったよ。ってことは、やっぱり仕事辞めたいんだね。別にそれでいいじゃん。辞めるぞ、って思ってどうやったらスムーズに辞められるかを今から準備しておけば?無職になるのが怖かったら、週末に在宅でできる副業を始めるとかして、少しでも稼げる基盤を作っておくとか。そうやって今の状況で立ち止まったままうじうじ悩んでいるよりも、何かしながら悩んでいた方が、先がひらけてくるかもよ」
A子「なんか心がスーッとしてきました!カヲルさんありがとうございます!!」
という感じのやりとりでした。A子は「仕事辞めてもいいよ」という誰かからの言葉を待っていたんですよね。本当に辞めるかどうか、というより、“辞めるという選択肢を持っている”ということだけで気持ちが軽くなることも多いにあるんですよね。
「仕事辞めたい」相談ってそこらへんにごろごろしている話。白黒つけなくても、グレーという提案もアリ。
【浅田家!】良質な笑いと涙を届けてくれる、二宮和也主演の傑作映画
2020年に観た映画でどれが印象に強く残っているか考えていたのですが、一番最初に思い浮かんだのが「浅田家!」でした。
嵐・二宮和也主演なのでジャニヲタ向け映画...なんて絶対に言わせない傑作です。
私の好きな映画BEST3に入る「湯を沸かすほどの熱い愛」の監督・脚本の中野量太氏が手がけているという色眼鏡で観ても、やはり素晴らしい作品でした。
✔︎情熱を持ち続ける意義を教えてくれる
✔︎東日本大震災を忘れないために
✔︎ニノの演技が天才(キャストも最高!)
情熱を持ち続ける意義を教えてくれる
主人公の浅田政志は一般的には“ダメ人間”なんですよね。定職にもつかずフラフラして、いきなり上京して彼女の部屋に転がり込んで...。
監督・脚本の中野量太氏のインタビューによると、脚本だけ読んだ関係者からは
「なんでこんな人物が主人公なの?」
と言われたほどだそうです。
でも政志は写真を撮ることが大好きで、その気持ちに嘘をつかなかった。
その情熱が「浅田家!」という写真集を作り上げ、写真集が売れて、スーパーアイドルを主役に映画になって、映画を通してたくさんの人に感動と希望を届けているのだから、情熱を持ち続けることの意義をまざまざと感じさせてくれます。(写真集が売れてから映画化までに、3.11での写真洗浄ストーリーがあります)
でも映画化になっていなくても、
家族写真を撮ることで実は政志は家族に幸せをもたらしている
そこが一番素晴らしいことですよね。
東日本大震災を忘れないために
写真に人生を捧げている政志が、ある出来事により写真を撮ることができなくなります。それが東日本大震災でした。
当時、被災地の現状をフィルムに残そうと現地に出向くカメラマンが多かった中、政志は悲惨な状況を撮ることに抵抗があり、シャッターをきることはありませんでした。
でも宮城県に住む家族(以前に家族写真を撮影したことがある)が気がかりで、現地入り。そこで出会ったのが「写真洗浄」をする学生でした。写真洗浄は、崩壊した家から写真を集めてきて、泥まみれになった写真を1枚ずつひたすら洗う作業です。
政志は学生を手伝い現地に滞在するようになり、そこでまた新たな出会いがあり、その出会いによる葛藤や感動があるのです。
被災された方にとって「写真」は計り知れないほど大きな存在となる
ニュースでは取り上げられることのない、この苦しみを知ることができました。
また、大テーマとしてではなく、政志の人生の重要な一部分として東日本大地震をみているので、素直に向き合えるところもあると思います。(あれから10年が経とうとしていても、正面から向き合うのはまだ怖いと思う方も多いと思いますので。私もそう)
日本中を悲しみの渦に巻き込んだ東日本大震災を後世に伝えていくためにも、「浅田家!」は意味のある映画だと思います。
ニノの演技が天才(キャストも最高!)
先ほど、主人公の政志がダメ人間すぎて脚本を読んだ関係者から疑問を持たれたと記しましたが、それでも中野量太氏は、
「二宮さんが政志を演じれば大丈夫」
と思っていたとのこと。
実際にニノが演じることで、政志が“愛されるダメ人間”に昇華されたと感じます。
確かに仕事もせずにフラフラしているけど放っておけない存在で、
政志は人間力がすごい人
だとニノの演技から伝わります。
ニノってどこか哀愁があるというか、いわゆる“雰囲気がある”人なので、それが政志のキャラクターと化学反応を起こしているのかもしれませんね。
2020年12月31日で活動休止となった嵐ですが、個人での活動として、ぜひニノには俳優業に進んで欲しい!そう思うくらいニノの演技って惹きつけられます。
また、政志兄役の妻夫木聡やお母さん役の風吹ジュン、お父さん役の平田満もかなりよかったですね。
良い意味で、どこにでもいる普通の家族に仕上がっていました!
最後の最後まで楽しませてくれる
「湯を沸かすほどの熱い愛」もそうだったのですが「浅田家!」でも、言葉通り最後の最後まで楽しませてくれるところが、印象に強く残るエッセンスとなっています。
観終わった後に「良い映画観たー!」と思えること間違いなし、良質な笑いと涙をもたらしてくれること間違いなしのおすすめ映画です。
※画像はお借りしています。
【えんとつ町のプペル】現世の縮図?叩かれても夢を持ち続けろ!
2021年の初映画で「えんとつ町のプペル」を観ました。
絵本は読んだことがないのですが、以前に映画館で見た予告映像があまりにも美しく、そして音楽も素晴らしく、一気に心を奪われました。
✔️圧倒的な映像美
✔️テンポの良いストーリー展開
✔️心がじんわり温まり大人が泣ける
「えんとつ町のプペル」について、この3点を軸にレビューを書いていきたいと思います。
圧倒的な映像美
映像、ガチで綺麗です。
綺麗すぎて臨場感が半端なくて、アトラクションに乗っているかのような感覚になるほど。3Dだったら酔いそうなくらいです(褒めてます)。
映像のことは全くわからないのですが、フル3Dだそうです。3Dアニメとは「縦・横・高さのある三次元の世界(3Dimension)」で、トイストーリーとかピクサー作品がその代表です。
えんとつ町は煙に覆われていて光が差し込まない世界なのですが、だからこそ町の灯りが黄色や赤色でとーっても綺麗。台湾の九份を思わせるような(千と千尋を思わせるような)赤提灯も雰囲気が出ていて素敵でした。“えんとつ町”の所以を知らなければ超ロマンティックです。
ネタバレになるので詳細はかけませんが、
クライマックスシーンの映像の美しさはため息ものです。
その美しさも、3Dだからより際立っているっていうことなんですかね。
テンポの良いストーリー展開
序盤からジェットコースターのごとく(ある意味文字通り!)、
ハラハラドキドキのスピード感が抜群で
すぐに世界に引き込まれます。
その後も“一旦落ち着く”ということがなく、一難去ってまた一難というノンストップ展開です。ファンタジーなのに、のほほんと観てられない笑
そのスピード感があるので全く退屈になりませんし、かといってストレートな物語なので理解できない部分もなく、子供も絶対に楽しめる内容だと思います。
冒頭にも書きましたが、私は絵本を読んでいないので絵本verと映画verがどう変わったのかわかりませんが、映画オリジナルキャラもいるしストーリー自体も改稿に改稿を重ねているようです。(パンフレット談)
そもそも、
絵本は壮大な予告編=映画の入り口
であり
最初から映画がゴールという構想
だったそうです。この映画への力の入れよう、映画を見ればちゃんと伝わってきます。
心がじんわり温かくなり大人が泣ける
子供でも楽しめるストーリーながら、大人はまた違った視点で観て、解釈して、泣ける映画です。
煙に覆われた「えんとつ町」は、
いわば現代のSNSの世界。
何かを成そうと目立ったり、無謀な夢を掲げれば、自分のことなんか1ミリも知らない人に叩かれるーーそう、これは原作者であり映画の脚本も務めた西野さん自身の物語でもあります。
子供が観たら「イジワルな人だな」と正面から思う事も、きっと大人が観たら解釈が変わってくる。「まあ仕方ないよね」「常識的にそうだよね」などなど。
そんなちょっぴり白濁している自分の心にハッと気づき、濁りのないクリスタルのように透き通った心のルビッチの叫びに涙しちゃいます。(私は涙しました)
「えんとつ町のプペル」は映画館で観るのがおすすめ
映像の美しさもさることながら、音楽も最高(特にHYDEさん。かなりシビれます)なので絶対に映画館で観るべき映画です。
タレントや俳優を多用した声は賛否あるようですが、私はよかったと思います!窪田正孝さんなんて、プペルそのものって感じ。あと藤森慎吾の声も個人的に好きでした。
とはいえ新型コロナウイルスがまた心配な今日この頃、感染対策をしっかりし、ご自身の体調とも相談しながら映画館に足を運ぶようにしてくださいね。
2020年12月25日公開
『映画 えんとつ町のプペル』公式サイト | 2020年12月25日公開
※画像はお借りしています。
【観たい映画】2021年1月公開!観たい映画をリストアップ
コロナ禍で公開映画が減っていた昨今ですが、徐々に増えてきているのかな?
1月は、
ずーーーっと楽しみにしていた2作品がついに公開
されます!!!
では、観たい映画リストアップ行ってみましょうー!
シン・エヴァンゲリオン劇場:||
「エヴァンゲリオン新劇場版:序」、「エヴァンゲリオン新劇場版:破」、「エヴァンゲリオン新劇場版:Q」に継ぐ劇場版4作品目となる
シン・エヴァンゲリオン劇場:||
が1月23日(土)に公開されます。
もともと2020年6月に公開予定だったものが、新型コロナの影響で延期になったんですよね。
公式サイトトップには
「さらば、全てのエヴァンゲリオン」
のキャッチコピー、
そしてイントロダクションでは
「エヴァがついに完結する。」
と書かれている...。
アニメシリーズから25年(映画が延期になってしまったので26年)、伏線に継ぐ伏線でもう本線が何だかもよくわからない、このエヴァンゲリオンシリーズの終焉、全てを回収してくれるのか。もう期待しかありません。
いきなり世界観が変わった3作目の公開が2012年なので、もう9年前なんですね...。あんな感じでガラリとまた世界が変わっているのか、Qの続きから始まるのか。
「あー、意味わからんっ!!!」ていう展開になるだろうと予想し、それを楽しんでいるところ、全エヴァファンに共通するのではないでしょうか。
〈シン・エヴァンゲリオン劇場版:||〉
2021年1月23日(土)公開
花束みたいな恋をした
菅田将暉くんと有村架純ちゃん主演の共感度100%のラブストーリー
花束みたいな恋をした
が1月29日(金)公開です!
大人気若手俳優の二人が注目度満点なのですが、やっぱりやっぱり...
坂元裕二氏の脚本
というところが私として興奮ポイント!!
坂元裕二氏といえば、ドラマ「mother」「anone」そして「カルテット」と最高すぎるドラマの数々を生み出した神様。(はい、坂元裕二さんのドラマ大好きなんです。ただ東京ラブストーリーとかはちょっと世代が違うんですが...)
坂元裕二さんの物語の何が好きかというと、セリフまわしがおしゃれすぎるところ。
おしゃれっていうのはキザとかじゃなくって、「そういう考え方もあるんだ!!」という気づきのエッセンスが必ずあるんですよね。
菅田くんも有村架純ちゃんも好きな俳優なので、その二人が坂元裕二さんの物語で見られると思うと楽しみすぎてやばいです。
〈花束みたいな恋をした〉
1月29日(金)公開
パリの調香師 しあわせの香りを探して
エヴァと花恋は絶対に観るのですが、タイミングが合えば観たいなと思う映画が
パリの調香師 しあわせの香りを探して
です。私は邦画の方が好きなのですが、たまにこういうお洒落〜な映画を観て浸りたくなるのです←
苦労をしながら立ち上がる女性のサクセスストーリーが好きで、そして単純にパリが好きなので絶対に好みの映画。
ストーリーは、ディオールの香水などトップメゾンを作った調香師アンヌのお話。メゾンで調香師として働くことへのプレッシャーから嗅覚障害になってしまい調香師を辞めざるを得なくなってしまいーー。その後一人でひっそりと暮らすアンヌは、運転手として雇った、これまた人生崖っぷち状態のギヨームと接するうちに心を少しずつ開いていく。そこからアンヌは再び立ち上がることができるのか?成功から挫折、そしてリスタートの物語です。
書いているうちに、観たい気持ちが高まってきた!!仕事で気持ちが落ちた時とかに観に行こうかな。
〈パリの調香師 しあわせの香りを探して〉
2021年1月15日(金)公開
2021年1月に観たい映画3つ
- シン・エヴァンゲリオン劇場版:||
- 花束みたいな恋をした
- パリの調香師 しあわせの香りを探して
この3本を2021年1月に観たい映画とさせていただきます!後半に偏っているので、前半は何か違う映画見ようかしら(でも東京は緊急事態宣言出ちゃうしな...。あ、でも映画は大丈夫なんでしたっけ)。
映画観たらレポ書きますね!
※掲載画像、お借りしていますmm
【ターミナル】真っ直ぐな男の予期せぬ空港滞在記
トムハンクスとスピルバーグのタッグ「ターミナル」。空港の中だけで作り上げられるストーリーが興味深く、笑えてあたたかくて、すこしホロリとしてしまう映画です。
そのタイトル通り、空港が舞台のストーリーで、渡米したはいいものの、ある事情でパスポートが無効になりアメリカ入国できず、さらには自国へ帰国することもできず、ジョン・F・ケネディ国際空港にとじこめられてしまう(住み着いてしまう)男の話。英語ができないが故にもどかしいトラブルが起こったり、偶然出会ったCAさんに恋心を抱いたり、9か月も(!)ターミナル暮らしをしていたことで芽生えた友情があったり。刹那的な場所である空港が舞台だからこそ、人とのつながりがより濃厚に感じられるのかもしれません。
何か特別な見せ場というわけでないのですが、印象に残っているシーンがいくつもあります。私の好きなシーンは、お金を集めるためにカート回収を覚えたところと、本から英語を学んでいくところ。なんだかとても印象深いのです。何故かわからないけれどお気に入りのシーンがいくつもある映画は、生涯大切にしたい映画の証な気がします。
それにしてもトムハンクスは心が綺麗な人を演じるのがピカイチですね。この物語の主人公ビクター・ナボルスキーをみていると「真っ直ぐって無条件に強い」と心から思います。そして強いから、人に優しくできるんですよね。愛の循環ですね。きっと人生遠回りすることもあるだろうけど。そんな不器用な主人公なので、見ていて少し気を揉んでしまったりもします。
そしてヒロインのCAアメリアについては、最後不倫に戻ってしまうことを非難する意見もあるみたいですが、私は賛成。主人公ビクターのように誰もが清く正しく生きられないから。アメリアの行動はビクターを人間として愛する故、仕方なかったと思います。
現実的にはぶっ飛び系の物語なもののそこはエンターテイメントとして受け入れて観た方が楽しめます。あり得ない設定をいかにリアルに乗り越えようとするか、という点はトムハンクスの素晴らしい演技に委ねれば問題ないです。ビクターを応援したりやきもきしたり、すっかり感情移入していることに気がつくはずです。
あえて言うならば、後半少し中だるみしてしまい、終わり方もちょっと物足りなかったなあと感じています。言葉がわからない国へ意を決して一人で行く、そして空港で足止めされても必ずニューヨークへ行って目的を果たしたい、というにはその理由が少々弱いような…。
とはいえ、先にも書いたとおり、印象的なシーンなたくさん散りばめられていて、観終わったあとは心がほっこりする。全体的に好きな映画です。
【anone】ニセ札がつないだ娘、婆、男と女の奇妙で優しい物語
脚本の神、坂元裕二のドラマ「anone」。広瀬すずちゃん主演で、田中裕子、阿部サダヲという坂本さん作品といえば!のお二人に加え、小林聡美、瑛太がメインで登場します。
ストーリーの背景はシリアスな設定ながら、思わず笑ってしまうシュールな掛け合いがたまらない!
そんなanoneのあらすじはこちら。
幼い頃に親に捨てられた過去をもつ、天涯孤独の少女ハリカ(広瀬すず)。ネットカフェで暮らし、そこで出会った少女2人と共に過ごす日々。そんな中、海辺の町「柘(つげ)」の砂浜で大金を見つけるが、ひとりの少女が持ち逃げしようとして...。
大金を砂浜に隠したのは亜乃音(田中裕子)だった。ある朝、元印刷所兼自宅の床下から大量のお札を発見し、それが亡き夫の隠したものだと知る。その大金をある理由から砂浜に隠すが、3人の少女に見つけられてしまい...。
ある日、病院で余命宣告される持元(阿部サダヲ)。持元の営むレストランの最後のお客さんとして来店した青羽(小林聡美)。なんと青羽はこれから自殺をするという。すっかり意気投合した二人は死に場所を探し、持元の車で出かけていく...。
大金持ち逃げ少女を追うハリカ、ある理由で大金を取り返さなければならない亜乃音。そんな二人とたまたますれ違い大金をめぐる騒動に加わる持元と青羽。
奇妙な出会いをした4人が、それぞれの生活に戻り、そしてまた奇妙な運命で再会し、一つ屋根の下で暮らすことに。4人が暮らす亜乃音の家(兼元印刷所)に突然現れた中世古(瑛太)は、印刷所の元従業員だった。そこで中世古が発した「ニセ札をつくろう」という言葉から、4人の運命は共同体となり奇妙に動き出していくーー。
*********
ざっくりとしたあらすじででは、anoneという作品の素晴らしさが全然伝えられない!!ストーリーは「ニセ札づくりによって生じる葛藤や人間関係のもつれ」が根幹になっているのですが、ハリカは幼い頃の痛みと新たな恋、亜乃音は娘との心苦しい確執、持元は容赦無く突きつけられた余命、青羽は過去に亡くした娘と現在の家族に抱く埋めようのない違和感を、それぞれ抱えながら生きています。
この背景を知ると「めちゃくちゃ重くて暗いドラマじゃないか」と感じてしまうかもしれませんが、そこはゴット坂本マジック。ププッと声が漏れて笑ってしまう場面も満載です。持元さんが街角インタビューに応える場面や偽りの家族を装った場面なんか、私はお腹抱えました。
奇妙でヘンテコな4人ですが、とーってもあったかいんですよね。気を許し合い包みあってるからこそ、ショートケーキの外側のフィルムも舐めちゃえるんです。
ショートケーキのシーンも大好きだし、他にも、セミ柄のパジャマのシーンとか、亜乃音さんがハリカちゃんに買ってあげた洋服のシーンとか、亜乃音さんが「布団が私を話さないんだもーん」といっているシーンとか、みかん鍋のシーンとか、亜乃音さんが病院を見つめるハリカちゃんを夜通し待っていて朝方に抱き寄せるシーンとか、、、大好きなシーンがありすぎる!!
そして物語の終盤は、本当にわりと残酷な展開になってしまうのですが、そんなしんどい状況下でも、ハリカちゃんはハリカちゃんだし、亜乃音さんは亜乃音さんだし、持元さんは持元さんだし、青羽さんは青羽さんのままなんですよね。本当にまっすぐなまま。社会的に弱い者という印象のある人々として描かれてきましたが、違う。彼女たちはとっても強い。それはなぜか。人生で大切なこと、たったひとつでもいいから大切なものを知っていて、それだけを守れればいいと思っているから。感動します。
そうして迎えるラストシーンもまた素晴らしいんです。「おもしろいドラマだったけど終わり方がな〜」という物語って割と多い気がしますが、ラストのラストまで最高です。
大好きすぎて幼稚な言葉しか出てこなくてすみません。でもそれでも良さをどうにか伝えたい、それほど私にとって大切なドラマの一つです。