"ドラマ"ティック MY LIFE

テレビっ子カヲルのドラマと映画の日々。好きなこと:旅行、エンタメ、ジャニーズ

【湯を沸かすほどの熱い愛】最後の最後に合点するタイトルの真意に鳥肌!

2016年公開の宮沢りえ主演「湯を沸かすほどの熱い愛」。杉咲花ちゃん、松坂桃李くん、オダギリジョー出演。桃李くんが若くて黒くて新鮮…♡

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さて映画レビューですが、切ないストーリーの中に胸がグッと熱くなる映画。日曜日の夜18時30分からサザエさんをみている自分の心情と似た、平和でやわらかい中にも堪え難い虚無感を感じさせる作品でした。スポブラいいですね。スポブラを曇り空の下で母親が干しているだけで何でこんなにも、あたたかくて切ないのでしょう。私自身が女性だからスポブラ期の、どんどん“女”になっている自分への恥ずかしさと、周りの目もどんどん気になりだしてくる複雑な気分が蘇ってきました。でもこの作品、脚本・監督が男性なんだよなあ。すごいなあ。

日本アカデミーで最優秀主演女優賞に輝いた宮沢りえの演技は言わずもがな。ストーリーの中でどんどん痩せてやつれていく様子が怖いくらいリアルだし、子供に対する強い愛の表現が美しい。カラダとココロ(ハート)の悲しいくらい乖離した“差”をまざまざと感じられる素晴らしい演技でした。

同じく最優秀助演女優賞、新人女優賞をとった杉咲花ちゃんもやはり素晴らしい女優さん。以前に仕事でナマ花ちゃんみたけど、抜群のオーラだったなあ。ちょっとキテレツなシーンも花ちゃんだとあぁこの子ならこうするよね、って受け入れられるからすごい。

桃李くんもオダギリジョーも好きなんですよ、私。だから天才的なキャスティングです。脚本・監督は中野量太さんという方で、「湯を沸かすほどの熱い愛」が商業映画のデビュー作らしいんですが、こんなに素晴らしいキャストを揃えられるってどうして、すごいと素直に感じちゃいます。

わりと謎めいたことばかりの中ストーリーが進んでいくのですが、テンポが良く、ストーリー序盤で出てきた伏線のワードが、あぁここで活きてくるのか、ときちんと腹落ちする内容。お母ちゃんが双葉として“居る”ときのシーンなんかは、終盤にしてやっとお母ちゃんがお母ちゃんになった理由がわかるというか。お母ちゃんの真の強さをかんじられますね。伏線が自然で、伏線自体にちゃんと意味があって腹落ちした時にとても気持ちいい。

ハイライトはたくさんあるんですが、わかりやすいのはやはり最後のシーンですかね。正直私は「うえっ」って思ったんです。いきなりつくり話感強っ!みたいな気分で。(もちろん、あのシーンは“本当にそうなのかどうか”は定かではありません。…ネタバレしないように書くのは不可能でもどかしいっ)でもねえ、やっぱり俳優陣のチカラが、そのぶっ飛び感を凌駕しているんです。あそこに君江さんがいることだけが私は嫌ですが、まあそれもお母ちゃんの愛の現れということで。

最後の最後に、丸っときれーいに収まりタイトルの意味に行き着く。巧妙な話の展開なのに、最後は潔くて、後味の良い作品ですね。「良い映画みたなー」と素直に思えました。